KOUSAKA KIKYOU

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やっとこさ・・

使用人「・・フフフ・・とうとう・・」
女将「・・・・・・・・」
使用人「・・とうとう手に入れましたよぉ・・女将ぃ!・・」
女将「・・うるさいのよぉ・・そのぉ・・でかいやつの事だろぉ?・・ったく・・」
彩とりどりなアジサイ達が咲き始める5月後半戦・・いよいよ大大大嫌いな松の剪定が草刈り金融の取り立てとシンクロウェーブのように波状攻撃を仕掛けてくる・・この非常に悩ましい松の剪定・・本来は植木職人さんにお願いしてパリッと刈ってもらうわけだが・・いやいやどうして・・安く見積もってもおそらく5~6万はかかるであろう選定作業・・それならばと・・得意のドゥーイットユアセルフ貧乏症候群発動・・毎年悩ましい5月なのだが待ってはくれない松の新芽ちゃん・・そう・・この新芽が6月に入ると恐ろしい硬度になり余計なスタミナを奪われるのだ・・是が非でも5月でケリをつけたいのである・・梅雨入りを前にいよいよ雑草愚連隊主力メンバーの掃き溜め菊隊長の新芽達がウヨウヨ出てきだしている・・ここから10月まで容赦なく輪廻して生えまくるハキダメギク・・わたしはこの雑草が心底嫌いだ・・これが出始めるといよいよ夏の大決戦を覚悟しなければならない・・そのまえに松ということで作業効率をあげて対抗してゆく・・いい仕事はいい道具から・・いままで5~6段の脚立を無理矢理松に立て掛けて作業していた・・その姿は自分で言うのも可笑しなくらい滑稽で・・マツヤニだらけになりながら松にしがみついてプルプルしていた・・作業効率の悪い脚立に嫌気がさす・・そもそもそういう作業をするハシゴではないからだ・・というわけで・・園芸用の三点脚立を購入する・・ホームセンターの売り場に鎮座する園芸用の脚立たち・・無論サイズも様々・・一番長いので4万弱・・3千円違いでサイズダウンしてゆく感じ・・う~ん悩ましい・・一番長いのまでは要らない気がするし・・たかが3千円ケチって二番目にするのもなんかダサい・・しかし3番目では明らかに寸足らず・・今までの人生で私はこういう時に常に2番目位のものを買っていた・・貧乏性なのもさることながら・・いやいや2番目で充分と自分に言い聞かせていた・・しかし今回の課題は余裕ある高さ・・とくればやはり大は小を兼ねると長男坊をチョイス・・ドキドキしながら軽トラに積み込み帰宅・・
使用人「・・いやぁ~心なしか・・大嫌いな作業にワクワクしてる自分がいますよぉ・・」
女将「・・しらないわよ・・」
支配人「・・くるるるぅぅ・・にゃんか楽しそうにゃ!・・」

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ワシワシ生える新芽・・これを放置すると松の樹形が乱れだす・・高所作業が苦手な私をあざ笑うかのように支配人がおちょくりに来る・・やはり剪定用のハシゴだけあり安定感が雲泥の差・・おかげで松にしがみつくこともなくなり黙々と新芽を積みながら要らない枝を払ってゆく・・これは楽だ・・すると・・徐々に頭の中で・・そもそも・・なんで・・こんなに松を・・守らなくては・・ならないのか・・一本ではない・・三本もある松の木を・・こないだ植木職人の親方さんに直接伺った話だと・・「松の剪定は一番気を遣うねぇ・・松は生涯修業だねぇ・・」と言っていた・・そぉんな難しい事をド素人が三本も管理する必要性があるのかと・・自問自答ウェーブがリフレインのようにコダマし始め・・容赦なく要らぬ枝を落としてゆく・・そもそも要るとか要らないとかも解ってないのに・・
使用人「・・いやぁ~3本は無理だよぉ・・タっつぁん!・・無理っ!・・」
先代の主の育てた松3本・・2本・・斬ってもいいですか?・・と・・心の中で辰っぁんに許しを請う・・自分としても松より花木を植えたい・・などと思いながらこの松の剪定から解放されることを想像して涎を垂らす・・見切りをつけた自分の引き潮の速さに驚きながら必要以上にサッパリさせ終了・・しかしながら専用の脚立ひとつでここまで作業効率が違うことに驚嘆・・一番長いのでもギリギリ届いた樹高に判断は間違っていなかったと4万円の出費を正当化させようとするセコイわたし・・
女将「・・たかが4万でぇ・・セコイねぇ相変わらずぅ・・どうせ売り場の前でしばらく悩んでたんだろぅwww・・」
使用人「・・いやぁ~15分くらい・・居ましたかねぇwww・・」
支配人「・・にゃっ!?・・こんにゃ部屋あったにゃ?・・いつできたにゃ?・・」
使用人「・・フフフ・・よくぞ聞いてくれました支配人っ!・・」
女将「・・・・聞いちゃったよ・・」
この宿の北側・・ボイラー室の横にとても小さな独居房並みの広さの部屋がある・・2畳ほどの広さの床は抜け落ち地面が露出し荒れ果てていた部屋だ・・

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辰っぁんはここで味噌や醤油などをこしらえていた様で・・おそらくはその強烈な塩分汁で床が抜け落ちたのであろう・・3年程さらに寝かせていたこの部屋をとうとう蘇らせる・・そう・・食器ちゃん達の倉庫を作るのだ・・いつやるの?いつやるの?と放置されてきた地面をまずは均してゆく・・ユーチューブの職人さんの床はり動画でバッチリ予習してきた・・まずは大引きといわれる枠組みを乗せる束(つか)を設置してゆく・・

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モルタルの上に束石を置いてゆく・・部屋の四隅と中央の5か所・・あらかたの水平は出しておく・・

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こんな感じ・・この上にプラ束と呼ばれる便利グッズを忍ばせる・・

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まぁ・・このプラ束で土台を支える訳だが・・このプラ束自体を廻すと・・なんとミリ単位~数センチの高さ調整ができるという縁の下の優れものなのだ・・しかも200~300円と安い・・

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水平を見ながら大引きをキメて行く・・

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根太を張り巡らせ・・普通はこの隙間に断熱材などを詰め込んでゆくがもちろん独居房なのでシカトしてゆく・・

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バン・・

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バンとコンパネを張れば・・
使用人「・・百人乗っても大丈夫!・・あっ!・・蓋する前に床下の忘れ物にご用心です!・・」
女将「・・物置かっ!・・」
支配人「・・いにゃばにゃ・・」

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からのぉ~床のクロスでいっちょあがり・・羽目殺しの採光窓が悲しげな独居房を演出する・・
使用人「・・いやぁ~確実にスキルアップしましたねぇ・・床はりは覚えました・・」
女将「・・ねぇ・・これ見てぇ・・だれか・・面白いの?・・」
やはりいい仕事はいい道具から・・弘法筆を選ばずというが・・いい筆に越したことは無いのだ・・もちろん私が弘法で無い事も付け加えておく・・

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女将の「おきみ」と申します~2歳の秋田犬やらせてもらっとります~今後よろしゅうたのんます~
しつこくて意地悪な性格と使用人からは言われとります~
何が悪いん?

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