使用人「・・ふぅぅ~・・これで良しッと・・」
支配人「・・あちぃぃぃ~・・サッサと帰って昼寝するにゃ・・」
炎天下の中・・畑作業をしていると・・村の方からご帰還の支配人が道を歩いてきた・・正確には道沿いのアスファルトではない所を選んで歩いているようだ・・まったく猫はしっかりしている・・雨の日は濡れないように帰ってきたり・・暑い日はちゃんと日影を選んで歩いていたりと感心してしまう・・だが・・ウチの畑から宿までは日影がないため・・道を歩いているのだろうが・・ちゃんと道を歩いて帰る猫を見ていると・・たまらなく愛おしくなってしまう・・幼い子が身体の半分位あるランドセルを背負いトボトボ帰ってくる様子に似ている・・
使用人「・・あっ・・おかえりなさい支配人・・って・・シカトですかぁ・・?・・」
暑くて朦朧としているのか・・わたしの問いかけにも見向きもせず家路へ急いでいる・・
支配人「・・んん?・・あ~ヨシダかぁ・・クソ暑いのにぃ~・・まぁたにゃんかやってるにゃ・・アホにゃ・・」
梅雨の中休みのおかげで・・ようやく畑のセキュリティシステムを仕掛け終えたところだ・・そう・・今年の電気ショッカーセコムネオの完成だ・・

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支配人「・・でたにゃ!・・オレンジ色の紐のやつにゃ・・バチバチにゃ・・」
使用人「・・あっ!・・気をつけて下さいよぉ!・・支配人!・・今年から昼間も・・24時間ぶっ通しでビリビリですのでぇ・・」
昨年の教訓を活かし・・今年は電気柵の張り方というものを徹底的に勉強した・・ただなんとなく張っていた昨年は・・デカい個体のお客様には効き目を示したが・・いかんせんイタチや狸などの小動物軍団に抜けられていたのだ・・そう・・これは下段の攻防戦なのである・・ただなんとなくでも中段・上段には効果を発揮していたが下段はガラアキ状態だったのだ・・得意の受け売りで説明すると・・4本線の最下段は小動物達がくぐれない程度・・地上5センチ位に張り巡らせたいのだが・・いたって平坦では無い場所に均等に5センチをキープする・・これは電線を張る上で最も気を使う作業と言える・・当然だが支柱と支柱の間がへこんでいる様な場所は潜れるスキマが空くという事だ・・幸いウチの畑はほぼフラットな所に張るので苦労しなかったが・・斜面や段差が多いとより知恵が必要となるのは言うまでもない・・しかも・・電柵の絶対的なルールのひとつに電線に接触する障害物があってはならないのだ・・どういうことかというと・・草だ・・草が接触するだけで地面へと放電し・・電圧が下がり効果が激減するのだ・・すなわち・・地上5センチの電線が最も雑草愚連隊の攻撃の対象となるのだ・・電線の下は常にご用心というわけである・・ここが適当だと上段や中段の効果も下がり致命傷になりかねない・・この下段の攻防こそが電気柵の生命線といってよいだろう・・
女将「・・知らないわよ・・そんなこと・・またいじゃえばいいじゃないのさ・・5センチだろぉ・・ヨイチだって触らないようにまたげるんじゃないのかい?・・ほれぇ・・ちょっとやってみぃ~・・」
支配人「・・やっ・・やめろにゃ!・・やらにゃくてもわかるにゃ・・飛び越えた方が早そうにゃww・・」
使用人「・・ふっふっふっふっ・・そうくると・・クックックッ・・思っていましたよぉ・・ここからがネオの進化なんですよぉ・・」

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支配人「・・げっ・・下段が・・二重ににゃってるにゃ・・?_・・」
赤い矢印の部分・・外側にもう一周・・そう・・下段を二重に仕掛けることで・・またぎ越えや飛び越えに効果を発揮する・・シングルの場合・・四肢と尾に使う集中力はさほどでもないが・・若干違う高さの狭い平行線を4つ足でまたいだり飛び越えるには・・奴さん達もより知恵と集中力が必要になるというわけだ・・
支配人「・・ん~っ・・たしかに・・飛び越えるにも2段目の線が邪魔にゃ・・顔が当たりそうにゃ・・」
女将「・・やってみやってみwww・・みたいみたいwww・・」

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女将「・・なんかずいぶん・・貧相な金網だねぇ・・」
これなら・・これなら食い破られることはないと信じたい金網・・無論・・電気柵が完璧であればこんなものは必要ないのだが・・より少しでも近づける可能性を減らしたおきたい・・地上に垂らしているのは穴掘り部隊に御用心のため・・垂らしている距離=掘らなければいけない距離となる・・まぁ・・電気柵の中にまでトンネルを掘られたらお手上げだが・・そんな技術者がいないことを祈りながら畑のセキュリティを仕上げる・・
使用人「・・昨年までは・・サツマイモの葉やカボチャの葉など干渉しまくりの下段線でしたからねwww・・足元の身だしなみ重視で行きます・・」
忘れてはいけないのが・・電圧のチェック・・どこに・・どれだけ電流が流れているのかは隅々まで把握しておく必要がある・・昨年はちょっとだけ触ってみるというアホな痛みを伴っていたが・・今年は電圧チェッカー君を用意・・五本線すべての四隅を入念にチェッカー君・・どこの数値も10000ボルト越え・・納得の数値に香坂ブルーの空を仰ぎ堀内孝雄を口ずさみながら引き上げた・・