ふと目を覚ますと・・やけに静まり返る周囲の山々にこれはと・・確信を抱きながらカーテンを開けると・・やはり・・積もっている・・しかも今季一の積雪量・・幻想的な風景に心奪われながらしばしボーっと立ち尽くしていると・・すぐに雪かきという現実に引き戻された・・
使用人「・・雪の日ってなぜか・・意外と温かいなぁ・・」
キッチンの温度計は3.5度を表示している・・晴れて放射冷却のキビシイ氷点下に比べたらずっと楽な朝ではある・・
女将「・・おはよ~・・だいぶ積もったみたいね・・早くいこ~♪」
使用人「おはようございます^^やぁばいですよ・・こないだより積もってますよ~・・」
散歩待ちの女将のプレッシャーにあおられながら支度していると・・自分も連れて行けとばかりに降りてくる支配人・・
使用人「・・へっ!?・・支配人・・行くんですかぁ?・・埋まりますよ・・」
支配人「・・くるるぅぅ・・くるるるるぅぅぅ」
猫のサカリ・・詳しくなどとても理解できないが・・傍から観察しているとまるで・・支配人が支配人ではない何かに支配されているように見える・・自律神経も狂わされているのか普段出歩かないはずの時間・気温などもお構いなしだ・・とにかく散歩や運動で気を紛らわした方がいいに違いない・・
30センチはゆうに積もる手つかずの道の中を・・足を引きずり私が歩いたガイドラインを支配人が進めるように先導してゆく・・どうせ5分位で引き返すだろうと思っていた・・ところが・・ひょこひょこひょこひょこ・・埋まらないように上手についてくる・・シンシンと降り続く雪に寒くは無くても羽織ってきたダウンが仇となり始める・・300m位で汗だくのオヤジの出来上がりである・・そしてまさかの私がギブアップ・・即帰還・・運動させられたのは私だった・・
女将「なんなのよ・・この・・ただの散歩の報告は・・オープニングトークだけで鯉研終わっちまうよ・・はやくいけぃ!・・」
使用人「・・失礼しました・・では行きます・・今回はぁ~・・わたくしの大好物でもあります・・コチラっ!」
支配人「・・くるるぅぅ・・にゃっ・・にゃっ・・にゃん蛮漬けぇ!?・・くるるぅぅ・・」
使用人「どうして歳を重ねるとこういうものが美味しくなるんでしょうね・・南蛮漬けも数々の魚たちで作ってまいりました・・小アジや目光りを筆頭に色々試してきましたが・・わたくしのナンバーワンはチカという魚・・北海道近海でとれるお魚で・・フォルムは海のワカサギといった感じ・・これが旨い・・というわけで鯉太郎君にも頑張って頂きましょう^^」
女将「南蛮液を作りま~す・・昆布と鰹・ドンコの合わせ出汁にぃ~・・圧力鍋で作ったコラーゲン配合マンでコクをプラス❤」
支配人「・・くるるぅぅ・・骨斬り侍にゃ・・これで・・癖のある小骨も気ににゃんにゃいにゃっ!・・くるるぅぅ・・」
使用人「ハモの骨斬りみたいに・・2mm間隔位かな・・斬り落とさないように刃を入れていきます・・」
女将「衣にもひと工夫ね・・青のりと自家製の南蛮・・カタクリに混ぜ・・まとわせ揚げていくわ・・」
支配人「・・くるるぅぅ・・このまま食べたいにゃ・・」
女将「・・グッとこらえて・・南蛮液に漬け込みま~す❤・・さらにグッとこらえて・・一晩なじませた方がオススメね・・」
使用人「この調理法も合わない魚はいない気がしますね^^・・無理に骨斬りしなくても南蛮酢だけで軟らかくなるかもしれませんね・・間違いなく前菜にもってこいの逸品ですね・・初夏のまだ明るい夕暮れ時などに旨い焼酎と併せたいですね・・まぁ~ビール・ハイボールも絶対あいます・・」
支配人「・・くるるぅぅ・・揚げたのだけちょっとよこせにゃっ・・」
女将「あっ!ずりぃ~~~~・・アタイもアタイもぉ~・・うまっ・・はっはふ・・うまっ!」
使用人「ちょっ・・ちょっ・・ちょっ・・ストップゥ~❤」