師走もあっと言う間に半分を消化・・午後の日差しもアッという間の冬至前・・勢いを増す西風と共にいよいよ冬将軍の本隊がご到着・・ここから三か月・・アルプスからの西風が容赦のない暴力的な氷風へと様変わりする・・女将の飲み水や洗濯物を瞬時に凍結させ・・身体からは熱を・・心からはヤル気を・・ものの数分で奪い去る・・
使用人「・・いやぁ~刺さりますねっ!・・風がっ!・・痛い痛いっ!・・」
女将「・・風は刺さらんやろぅ~・・血だらけになるわぁ・・」
支配人「・・まっすぐ進めにゃいにゃ・・」
年々威力を増し続けている印象の西風だが・・これだけ駄々洩れで吹かせているのがもったいないくらいだ・・もっぱら太陽光発電に占領されている香坂だが・・風力発電もイケるんじゃないかと素人目に思ってしまう・・
支配人「・・風はどこから吹いて来るにゃ?・・」
女将「・・あらほんとねぇ・・風の始まりってぇ・・どこなのさ?・・」
使用人「・・いい質問ですねぇ!・・」
支配人「・・でたにゃ!・・アキラにゃ・・にゃんとかアキラにゃ・・」
女将「・・池上ぃ❤・・またこの展開かよ・・めんどくさそうだからいいやぁ~・・天気興味な~い・・」
なぜ・・冬になると・・西風ばかり吹いてくるのだろうか?・・得意の受け売りでザッとマトメてみる・・いったいどこで生まれて何処から吹いてくるのか・・この氷風はいったいどこから・・これにはどうやら偏西風と気圧が風を生み出すメカニズムと関係しているようだ・・
支配人「・・にゃに?・・偏西風ぅ?・・」
女将「・・いいって・・猫に偏西風なんて関係ないだろぅ?・・キョーミなし・・」
地球の自転と温度差により発生している偏西風・・なんと上空10キロの高さで一年中吹きまくっているらしいのだ・・高気圧だろうが低気圧だろうが御構い無しに西から東へと吹き飛ばしてゆく・・西から天候が崩れてくるのもこの偏西風のおかげという訳なのだ・・ということは日本海側から常に容赦なく吹いている偏西風に加え・・冬型の気圧配置・・コレがさらに気温の高い太平洋側に空気を流し込む・・そう・・風とはすなわち空気の流れが生み出している力・・風が強いという事は空気が猛烈な速さで流れているという現象なのだ・・どこかで巨人が仰いでいる訳でもなく・・暖まった空気は上昇し・・空いたスキマに冷たい空気が流れ込む・・これを延々繰り返しているのが・・風・・という訳なのだ・・
支配人「・・誰かの嫌がらせにゃのかと思ってたにゃ・・」
女将「・・イイって言ってんのに付き合わされんのよ・・ったくぅ・・」
使用人「・・いやぁ~どうりでぇ・・キンキンに冷やされて吹いてくるわけだぁ・・あっでも・・すべての熱量を奪い去っていく氷風ですが・・唯一の恩恵がございますねぇ^^・・」
女将「・・ふん・・ジャーキーね❤・・」
まさにこれからの3カ月・・惜しみなく降り注ぐ太陽光とアルプスを越え刺さるほど研ぎ澄まされた氷風が・・当宿特製鹿ジャーキーの仕上がりを別次元へと干し上げる・・そう・・まさにこの時期ジャーキーの生産ラッシュがピークを迎えるのだ・・
支配人「・・え~っ?・・ハマってますもジャーキーにゃのかよぉ・・興味にゃしっ!・・」
使用人「・・ご安心くださいっ!・・今回はさらに無いスキマにもうひとつ・・この時期旬な物・・これを使いもう一品仕込みました・・支配人も好きそうな甘~い奴ですよ^^・・」
女将「・・いちいち値打ちつけやがってぇ・・テメェでドンドン首を絞めてりゃ世話ねぇわなwww・・」
なんといってもこの時期の信州はリンゴ!・・前回のリンゴのタレに引き続き・・今回は甘~いリンゴペーストと幸せのリンゴバターを製作してゆく・・とにかく何かと大活躍の影の立役者的存在のリンゴちゃん・・当宿も色々な料理の下地としてフル活用お世話になっている・・生産量も半端ないだけに良いものも割と安価で手に入れやすい地の利を生かしお宝へと昇華させてゆく・・特に旬なこの時期はキズモノや加工品用のリンゴちゃん達が50玉1000円などという優しい価格で手に入るからだ・・信州に居てこの金の卵に手を出さないのは商い失格と言えよう・・そんな思いでリンゴちゃんを大量に仕込んでゆく・・
使用人「・・まぁ・・ほとんど活躍してくれるのはフードプロセッサー君なんですけどねwww・・」
どんどんリンゴを粉砕してゆく・・うちので一度に回せるのは3個まで・・巨大なフードプロセッサーが欲しくなる・・
使用人「・・よぉ~し・・全部粉砕したら・・火にかけてゆきます・・リンゴにはレモン汁です・・これ・・セットです・・色止めの効果もあるのでしょうが・・少量のレモン汁で味が整い引き立ちます・・」
2時間程混ぜながら水分を飛ばしてゆく・・このとき・・ペースト状になったリンゴちゃん達がボコボコとマグマのように跳ね上がり熱いラブコールを飛ばしてくるので火傷に注意・・
女将「・・おまえがな・・」
支配人「・・にゃんかぁ~・・ふる~てぃ~にゃ・・」
あらかた水分が飛んだところで甘くしてゆく・・これでもかと甘くしてゆく・・ここまではジャムづくりと大差なし・・

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支配人「・・むむむ・・オイラはやはり・・リンゴバターに期待にゃ・・」
女将「・・アタイもぉ~・・バター・・バター・・いい響きよねぇ・・バター・・名前だけで美味しそうねぇ・・」ここからは別行動・・甘く仕上がったペーストにさらに・・禁断のバターをこれでもかと投入してゆく・・リンゴ1個につき50g計算・・ペーストで5分の1ほど取り出したので50g✖40個計算・・およそ2キロのバターを寸胴鍋へ放り込んでゆく・・私の人生でこんなに一気にバターを使ったことはない程の後ろめたさで躊躇する手を払いのけ放り込んでゆく・・ひたすら魔女のように混ぜ混ぜマリアージュ・・仕上げに塩で整え出来上がり

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使用人「・・これはスイーツにもかなり応用が利きそうですねぇ・・アイスにケーキ・・楽しみですねぇ・・」
支配人「・・にゃまクリームと合いそうにゃ~・・気ににゃる方は店頭でどうぞにゃ❤・・」
女将「・・けっきょく・・また売るんかいっ!・・」