10月に入り日の出もかなり遅くなってきた・・5時過ぎでも暗い・・日の入りはもっと早く感じる・・17時半すぎると・・山に入るのが怖くなる・・まず鹿やキツネなどが・・待ってましたとばかりに活動しだす・・女将のセンサーもビンビンになり・・警戒が高まる・・いつ・・ひょっこり・・森のクマさんに遭遇してもおかしくない緊張感に包まれる・・まるで自分が場違いなところへ迷い込んだような不安に駆られ・・急に大声で歌いだしたりする・・
女将「・・しっ!・・バカか・・気付かれんだろうが・・」
使用人「・・へっ!?・・気付いてもらった方が・・良くないですかぁ?・・いますよぉ~・・ここにいますよぉ~・・って・・」
女将「・・ふんっ・・負け犬がぁ・・先に気付けなきゃ・・不利になるだけだろうがぁ・・」
たしかに・・一理ある・・索敵において先に発見した方が・・事は間違いなく有利に運ぶだろう・・だが・・モンスターだらけの夜の山に布の服1枚で放り出された冒険者の様で歌わずにはいられないのだ・・気付いておくれ作戦・・これは・・相手の心理に・・「なんか・・めんどくせぇのがきたなぁ・・」・・と・・いなくなってもらう事を期待した・・100%相手の判断に委ねた作戦なのだ・・たいがいの相手は・・「トラブルは御免だぜぇ・・」・・と・・いなくなるはずだが・・まれに・・「なんか・・面白そうなのがきたなぁ・・」・・と・・好奇心旺盛組や・・「うぅるせぇぞコラァ!!・・テメェらどこのもんだぁ!!・・」・・の・・極悪非道組に遭遇すると・・まったくの逆効果になることは言うまでもない・・
女将「・・ふん・・いかにも平和ボケした人間が考えそうなことね・・狂暴化してる奴にセオリーなんか通用しないよ・・野生なめんなよ・・」
クマよけの鈴・・これも・・気付いておくれ作戦・・ラジオや音楽をかけるなど・・気付いておくれ作戦は自分は気付けずに・・相手だけに気付かせてしまうというデメリットが大きい作戦とも言える・・襲ってくるのはたいがい・・飢えて狂気に満ちた暴君・・か・・最愛の我が子を守ろうとする鬼子母神・・気付かずに・・大きな鈴の音を鳴らしながら山を歩くのは・・ある意味・・かえって危険でもあるという事を肝に銘じておきたい・・
支配人「・・にゃに言ってるのか・・さっぱりわかんにゃい・・結局ぅ・・にゃにが・・言いたいにゃ?・・」
使用人「・・えと・・けっきょくぅ・・ですねぇ・・クマさんとの距離がぁ・・めちゃめちゃ近づいているぅ・・てことですかね・・」
女将「・・当宿にお越しの皆さ~ん❤・・散歩の際はくれぐれも山に入らないようにね❤・・」
支配人「・・高速道路と香坂川は越えにゃいようににゃ❤・・」