女将「・・おいおいヨシダぁ~・・明るいからって・・いつまでやってんだよ・・ったくぅ・・」
支配人「・・とっくに晩飯の時間にゃ・・体にゃい時計が狂うにゃ・・」
使用人「・・あらまっ・・ホントだ・・これは失礼しました・・」
南北に広大な面積を有する長野県・・私たちの住むココ東信は文字通り東の果てに位置している・・東信地区だけポコッと飛び出たような形を成し・・北は軽井沢・・南は川上村・・我が香坂はその真ん中あたりの佐久高原に位置している・・東の果てから西の果てを眺めてみる・・中央に上田や松本あたりの筑摩山地等があるものの・・そこまで高くはない・・西の県境のアルプスまで2000メートル級の山は無い・・何を言いたいかというと・・夕日を遮るものがアルプスまで無いという事なのだ・・東西の長さは南北ほどではないものの・・西の最奥のアルプスまで遮るものが無いとどうなるか・・そう・・お日様が中々沈まないのである・・この時期・・19時過ぎでも充分明るいのだ・・感覚的には・・まだ18時前かなぁ~?・・と思うほど・・その為・・外作業の畑仕事等は大変はかどるのだが・・明るいからって何時までもやっていると上がり時を失う・・気付けば19時を過ぎ・・身体が悲鳴をあげることになる・・
使用人「・・なんか・・最近・・やたら疲れると思ったら・・単純に長時間動いてただけですねww」
女将「・・だけですね・・じゃぁないのよ・・暗くなったらやめるやり方変えろっ!・・」
支配人「・・アホにゃ・・時給じゃにゃいにゃ・・こっちにしわ寄せがくるにゃ・・」
支配人「・・ぐふぅ~・・ホントですね・・気を付けます・・」
誰に褒められる訳でもない・・誰に怒られる訳でもないのに・・なぜか夢中になると時を忘れてやってしまう畑作業・・この中毒性が非常にヤバイのだ・・あっ!もうこっちの草が伸びてるっ!・・とか・・あそこまでやったら終わりにしようっ!・・とか・・無限ループのようにやることが尽きない・・その為・・秋が終わり・・野沢菜を収穫し・・冬準備を終えると・・ホッとする気持ちと・・春までの寂しさが入り混じる・・大袈裟だなぁ~・・と思うかもしれないが・・この程度の畑でそう感じるということは・・生産農家さん達の労働力にはホントに頭が下がる・・
女将「・・あれあれっ?・・こないだ張った・・マルチがww」
支配人「・・にゃははははは・・一列・・まんにゃかから破れてるにゃww」
使用人「・・それ以上・・笑ったら・・へこみますよ・・」
以前も説明したが・・マルチとは・・作物の地回りを覆うビニールのシート・・以前張ったとき・・一列だけ真ん中に・・破れそうな筋がついてしまった・・イメージ的には女性のストッキングが伝線している感じ・・そこを起点に風であおられ・・真ん中から破けて地肌が露出・・師匠達に大笑いされた・・
使用人「・・くぅ~っ・・これは張り直すしかない・・とんがった石でもあったのかな・・」
しかも一番長い列・・20メートルはあるだろうか・・まるで自分の恥部をさらけ出してるかのように・・風にあおられ露出するウネ土・・とにかくあまり人目にさらす前に張り替えたい・・恥ずかしいのだ・・
支配人「・・にゃははははは・・ふりだしに戻るにゃww」
女将「・・ほらほらっ・・早くしないと・・村中に笑われるぞぉ~ww」
使用人「・・それ以上言わんといて・・」
風のない早朝・・なんとかコッソリ張り終えた